ロープ1本で行う傷病者搬送と身近なものを使った止血法

登山や散歩中の事故、ケータイの電波の届かない場所でのケガなど、野外では不意な事故に見舞われることがあります。元自衛隊レンジャー出身の筆者が、レンジャー式搬送法と止血法をご紹介します。

執筆アウトドアセレクトショップ
Camp Shop Lantern 富田満也
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<その1>ケガなどで歩けなくてもロープ1本で背負う「傷病者搬送」

アウトドア中にケガなどで仲間が動けなくなった時、ロープ一本あれば背負って安全な場所へ搬送が可能です。この方法を実行する場面は命に係わる最終手段としてですが、もしもの時のために身に着けておくと良いと思います。
※二次災害や滑落などの危険性があるため、周りの地形や気象など状況をよく確認して行ってください。

「傷病者搬送」の結び方

<準備するもの>ロープ(スリング)約2.6m以上を使用します。

①傷病者の脇にロープを通す
②救助者(自分)の胸の前でくるくると2~3周回す
③ロープの両端を傷病者の大腿部の外側から通し、救助者(自分)の腹部の前で結ぶ
④この時なるべく傷病者と密着するようにきつく結ぶと楽に搬送できます。
⑤完成!傾斜のキツイ道や足場の悪い場所などを歩く際は特に気を付けましょう。

筆者の自衛隊の先輩は岐阜の山中をこの搬送方法で数Km運んでいましたが、慣れない方が行うと二人ともケガをしてしまう危険性もあります。もし実行する場合は最終手段として使うようにしてください


<その2>もしもの時の止血法3種類

血液は通常、体重の約7~8%(約4~5ℓ)と言われています。
そのうち20%が急速に失われると出血性ショックに陥り、30%で命の危険があります。
出血した際の応急処置は非常に重要なため、止血法を紹介します。

まずは身近なタオルやTシャツなどで行う止血法

(1)直接圧迫止血法

出血している傷をガーゼやハンカチなどで直接強く押さえる方法。
止血するまで継続して圧迫します。(目安は5分~15分程度)

(2)間接圧迫止血法

出血部位から心臓に近い動脈を圧迫し止血する方法。
直接圧迫法のガーゼなどを準備している間、または併用して行います。

(3)緊縛止血法(止血帯法)

手足の動脈性出血で圧迫止血法では止血が困難な場合に行う止血法の最終手段です。正しく行わないと神経を切断したり、末梢神経を壊死させたりする危険があるため、むやみに行わないようにしましょう。

<準備するもの>タオルやTシャツ、薪やハンマーなど棒状の物、筆記具

緊縛止血法の結び方

出血した部位より心臓側の部分をタオルやTシャツなど(幅3㎝以上のもの)で輪っかを作り、隙間をこぶし一個分程度空けて結ぶ。

輪っかの中に薪やハンマーなど折れない棒状のものを入れ、上に引っ張りながら止血するまで回して絞める。

止血した時間をメモなどに記入して終了!
このまま緊縛したままの状態にしておくと細胞の壊死などの可能性があるため、止血して30分程したら緩めます。緊縛より先に赤みが戻るくらい緩めればOK。
棒が戻って緩んでしまう場合はヒモなどで固定しましょう。

最後に
以上、搬送法1種類と止血法3種類を紹介しました。
紹介したものは一例で、まずは医療機関などに要請し、連絡手段がないなど緊急性の高い場合にのみ使用してください。これらは全て必要な知識です。特にアウトドアが趣味の方は身の回りにいつ起こるか分かりません。しっかり知識を身につけて、いざというときに備えましょう。


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