PETROMAXは1910年に誕生しました。1900年頃ドイツ人のマックス・グレーツが発明した圧力式の灯油ランタン。このドイツ人の名前マックスと灯油を意味するペトロノームを掛け合わせて「ペトロマックス」と名付けられました。
執筆 | ヴィンテージランタン販売店 TOMOS 荒川聡 | オフィシャルページはこちら |
それから既に100年以上も世界中から使用され愛されてきたランタンです。100年前現在のような電気はありませんでしたので、PETROMAXの温かい灯りが各家庭で灯されていたのです
そんなPETROMAX HK500ですが、よく耳にするのが炎上やじゃじゃ馬、今日のPETROは機嫌が悪いなどトラブルに関する話です。しっかりとメンテナンスや点灯する手順を間違わなければ炎上することはありません。その辺りの手順をこれから解説していきます。
燃料の種類
PETROMAX HK500の燃料は、街中のガソリンスタンドで販売している灯油で問題ありません。その灯油を燃料とするランタンやヴィンテージストーブなどは必ず点灯するのにプレヒート(予熱)が必要です。そのプレヒートを行う為に現行品のPETROMAXにはバーナーが備わっておりますのでこれを使ってプレヒートを行う方法と、もう一つアルコールを使ったプレヒートをする方法と2パターンのやり方がありますのでやっていきましょう。
プレヒートバーナーによる点灯方法
まずはバーナーを使ったプレヒート方法ですが、この手順を誤ってしまいますと炎上の原因となってしまいます。バーナーはタンク内にある灯油を霧状にしてジェネレーターというマントルまでの通り道に直接炎を吹きつけプレヒートを行う方法ですが、バーナーに火をつける前段階が非常に大事です。
バーナーから勢いよく炎を吹き付けるためには、このバーナー以外の箇所から燃料や空気が漏れてはいけません。以下の箇所を確認しましょう。
- センターバルブは上を向いていること。つまりジェネレーター先端からニードル(針)が出ている状態。(クローズ)
- 燃料キャップ及び圧抜きバルブがしっかりしまっていること。
- ジェネレーター先端にあるニップルが緩んでいないこと。
この3点をプレヒートバーナーを使用する前に確認しましょう。
ポンピングで圧力を上げる
次に圧力メーターのレッドライン手前くらいまでポンピングを行い、圧力をかけた状態でどこからも燃料が漏れていないことが炎上しない大事な要素となります。特に炎上してしまう原因として多いのは、センターバルブが下向きつまりジェネレーターがオープン状態でポンピングを行ってしまったり、ニードルが緩んでいて隙間から燃料が漏れてしまっている場合には灯油が液体のまま火が付いてしまい炎上してしまいます。
圧力がかかった状態でどこからも燃料が漏れていないことが確認できたらバーナーを開き着火します。プレヒートは約2分くらい行いましょう。
プレヒート中に圧力はどんどん下がっていきますので、追加のポンピングも必要です。
そして十分にプレヒートを行ったらセンターバルブを下向きにゆっくり回してオープン状態にしていきます。マントルが無事に点灯したらバーナーを閉じてさらにレッドライン手前までポンピングを行い点灯の作業は終了です。
アルコールを使った点灯方法
次にアルコールを使った点灯方法をご紹介します。このやり方はメリットが多いので特におすすめします。
メリット① 炎上しない!とまでは言いませんがかなりおさえられます。
メリット②ランタン本体に煤がつかない。ランタンを綺麗に保てます。
メリット③プレヒート分のポンピングが不要、ゆっくり点灯させられる。
逆にデメリットは燃料の灯油以外にプレヒート用に別途アルコールが必要となります。
アルコールによるプレヒートは以下の2点が必要です。
・燃料用アルコール
・アルコールを注ぎ入れるためのボトル
アルコールによるプレヒートを行う前に本体は次の状態にしておく必要があります。
- センターバルブは下向きにしておきます。ジェネレーター先端の針は隠れている状態。(オープン)
- 燃料キャップもしくは圧抜きバルブは緩めておきます。
- プレヒートバーナーは使いませんので閉めておいてください。
以上のようにバーナーの時とは真逆の設定で始めてください。
PETROMAX本体にはジェネレーターの付け根あたりにアルコールを注ぎ入れるカップがあります。そこへアルコールボトルを使って9分目くらいまで注ぎ入れてください。
そしてアルコールへ着火して2分ほどプレヒートを行います。しっかりプレヒートを行ったら、緩めてあった燃料キャップまたは圧抜きバルブをしっかり閉めて、アルコールに火がまだついているうちにゆっくりポンピングを最初は数回行いましょう。無事にマントルに火が灯したらレッドライン手前まで更にポンピングを行ってください。
このようにアルコールを使ったプレヒートはポンピング作業がとても少なくて済みます。ポンピングが大変と思われている方にはこのアルコールによる点灯方法をおすすめいたします。
消灯方法
消灯は圧抜きバルブを緩めるだけですが、完全にランタンが冷え切るまではバルブは緩めておくことが重要です。すぐに閉じてしまいますとランタン本体に残った熱だけで圧力がかかりジェネレーターより燃料が漏れてしまう場合があるためです。
このようにアルコールを使ったプレヒートは慣れれば大変簡単でトラブルもほぼありません。ぜひお試しくださいね。